逆手懸垂のやり方とポイントやフォームについて解説します。また、腕の筋力を向上させたり、筋肉を太くする(筋肥大させる)ために適切な負荷回数設定についても解説します。
あわせて、腕相撲やアームレスリングで勝つために有利となる鍛え方を、一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟所属の選手が、実際に動画で実演してご紹介します。
逆手懸垂が有効な腕の筋肉部位
逆手懸垂は、背筋群(広背筋・僧帽筋)および上腕二頭筋に有効で、二次的に前腕屈筋群にも負荷が加わります。なお、各筋肉の作用については以下をご参照ください。腕の筋肉構成と作用
上腕の筋肉
三角筋:上腕を前・横・後ろ・上にあげる
上腕三頭筋長頭:肘を伸ばす・上腕を閉じる
上腕三頭筋短頭:肘を伸ばす
上腕二頭筋長頭:肘を曲げる
上腕二頭筋短頭:肘を曲げる・前腕の回外
前腕の筋肉
前腕屈筋群:手首を屈曲(掌屈)させる|上腕二頭筋と協働する
前腕伸筋群:手首を伸展(背屈)させる|上腕三頭筋と協働する
上腕二頭筋の腕相撲における働き
上腕二頭筋は肘関節屈曲作用が主な作用で、腕相撲・アームレスリングに不可欠な肘の角度の維持に大きく関与します。また、短頭は前腕を回外(小指が手前に向く方向に回す)させる作用があり、フック系テクニックの動きに重要です。
▼さらに詳しい筋肉の名称と作用
腕と周辺の筋肉の構造・作用と鍛え方
逆手懸垂のやり方の動画と解説
一般的な逆手懸垂のやり方
逆手懸垂でもっとも大切なポイントは、胸を張って構え、身体を引き上げながら肩甲骨を寄せていき、身体を引き上げたポジションでしっかりと肩甲骨を寄せきって背筋を強く収縮させることです。肩甲骨の寄せ方が不十分だと、負荷が背筋群にあまりかからず、上腕二頭筋にばかり集中してしまいますので注意してください。
このためには、肩甲骨を寄せる意識を持つとともに、背中が丸まらないように目線を斜め上方に向けることが重要です。
注意点
本種目は肩幅よりも広い手幅でバーをグリップすると、肩関節や手首関節に強い負担がかかってしまいます。肩幅よりも狭い手幅で構えるようにしてください。特殊な逆手懸垂のやり方
腕相撲(アームレスリング)に活用できる筋力を鍛えたい場合は、あえて肩甲骨を寄せずに、やや背中を丸め気味にし、腕の力(上腕二頭筋の筋力)のみで動作を行います。また、本種目を上腕二頭筋に効かせるためには、身体を引き上げるときのコンセントリック収縮(短縮性収縮)も大切ですが、身体を下ろすときに負荷に耐えながら筋肉に効かせるエキセントリック収縮(伸長性収縮|いわゆるネガティブ動作)も重要です。
筋力向上と筋肥大に適切な負荷回数設定
筋肉を構成している基本単位の筋繊維(筋原繊維の束)には、主に次のようなタイプがありますが、それぞれの特徴と適切な鍛え方(負荷回数設定)は以下の通りです。
筋繊維の種類と特徴・鍛え方
遅筋(持久筋・SO)|筋繊維タイプ1
酸素を主なエネルギー源とする持久筋で、持続的な弱い筋収縮で使われる筋繊維です。トレーニングでは20回以上の反復回数で鍛えます。鍛えても筋肥大・筋力向上はあまりありません。速筋(瞬発筋・FO)|筋繊維タイプ2a
酸素を主なエネルギー源とする瞬発筋で、30~60秒程度の持続的な強めの筋収縮で使われる筋繊維です。トレーニングでは12~15回程度の反復回数で鍛えます。鍛えると、やや筋肥大・筋力向上し、筋スタミナが向上します。速筋(瞬発筋・FG)|筋繊維タイプ2b
グリコーゲンを主なエネルギー源とする瞬発筋で、30秒以内の短時間の強い筋収縮で使われる筋繊維です。トレーニングでは6~10回程度の反復回数で鍛えます。鍛えると、よく筋肥大・筋力向上します。これらのことから、瞬発系スポーツでは筋繊維タイプ2bを中心にトレーニングを行い、あわせて筋繊維タイプ2aも鍛えていくのが一般的です。
具体的には、1セット目をアップをかねて12~15回1セットで行い、その後、数セットを6~10回1セットで追い込み、最後に12~15回1セットで仕上げます。
腕のトレーニングに特化した専用器具
一般的に腕の筋肉を鍛えるだけならば、自重・ダンベル・マシン・バーベルなどでのトレーニングでも十分ですが、スポーツ競技で勝つための筋力=実戦的な筋力を鍛えるためには、前腕から上腕まで一体となった鍛え方をする必要があります。
そのためには、やはり、腕を鍛えるために特化したトレーニング器具類が必須となってきます。
腕を鍛えるための専用トレーニング器具はこちら
腕のトレーニングをサポートするグッズ
リストラップ
上腕三頭筋・前腕伸筋群の強化に必須のプレス系トレーニングで重要なのが手首関節のサポートです。そのためには、リストラップと呼ばれるトレーニンググッズが有効です。
パワーグリップ
上腕二頭筋・前腕屈筋群強化に必須のプル系トレーニングでは、握力の低下を補助することが重要で、そのために有効なのがパワーグリップやリストストラップなどのトレーニンググッズです。
エルボースリーブ
上腕二頭筋・上腕三頭筋・前腕筋群のトレーニングのいずれにおいても重要なのが肘関節のサポートで、サポート方式が平行巻きから交差巻きまで対応できる「Xタイプ」と呼ばれるエルボースリーブが特に有効です。
腕のトレーニングをサポートするグッズの詳しい解説
腕の筋肉の鍛え方
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腕の筋肉の鍛え方(筋トレメニュー)の一覧